気候変動

気候変動は、直接的・間接的に、私たちの生活を破壊してゆく。 長期的な気候変動の影響で、短期的な変化が起きる。 短期的な気温や湿度の急激な上昇や急激な低下により洪水や崖崩れが起こり、水道・電気・ガスなどのインフラ・システムが分断される。 短期的な気候変動は、暴風雨、干ばつ、猛暑などといった大混乱をもたらし、経済的・社会的なダメージをもたらす。 長期的な気候変動は、徐々にやってくる。 地球規模での長期的な気温の上昇は、長いあいだにわたって、じわじわと、海面上昇を招いてしまう。 ひとたび海面上昇が起こると、今ある堤防は長期にわたって役に立たなくなり、海岸沿いの大部分の土地は水没する。 環境の変化により住環境が破壊され、生活不能になる地域が広がり、最終的にはその地域は放棄される。 環境の変化は農林業にも影響を与え、作物や樹木を育てることができなくなった土地が荒野となり、放棄される。 住環境を失ってそれまでいた地域にいられなくなった人たちや、農林業で食べていけなくなった人たちが、難民となる、 何百万・何千万もの難民と、難民が来るのを阻止しようとする人たちとの対立が深まる。 水へのアクセスや食糧の分配などの問題が顕在化し、暴動と内戦、戦争と飢饉が、いくつかもの地域を引き裂いてゆく。 人間が起こした長期的な気候変動に、地球が反応する。 気候変動が続き、人間にも地球にも悪い方向に向かってゆくと、人間を受け入れる地球の能力が、大幅に低下してゆく。 地球が許容できるようになるまで人間の数は減少しつづけ、暴動と内戦、戦争と飢饉、そして飢饉が続く。 核兵器の使用は避けられなくなるが、核兵器の使用は人間の数の減少を早め、厳しい時代を終わらせるのに役立つ。 戦争は、宗教とか、イデオロギーとか、国家の名誉といったことについての争いから、生存についての争いになってゆく。 争点は、民主主義や人権といった観念的なことから、水へのアクセスや食料の分配といったより現実的なことへと、移ってゆく。 地球は、人間がいようがいまいが、続いてゆく。 長かった間氷期が終わり、氷期が始まる。人間の数は減少するが、少数の人間はどうにか生きのびる。 氷期と間氷期が繰り返し訪れる氷河時代が終わり、生態系が大きく変わる。人間は滅亡するか、違ったかたちで生きのびる。